もう、10年以上前ですが、旅行会社に勤務していた時、翌朝の会議や研修出席のため、日曜日夜から出張に行くことがありました。夜の飛行機で移動する場合、空港への移動時間を考えると、午後から気分は仕事モードです。4月の安衛法改正により、みなし労働時間の労働者も労働時間の状況の把握が義務になります。今後、みなし労働時間制の適用についても影響が出る可能性があります。本日のテーマは、出張中の移動時間が労働時間になるか?です。
1.出張中の移動時間について
出張のために、平日に前日から移動する時は、あまり問題ならないと思います。でも、休日から移動する場合には、労働者が「休日に移動しないといけないのだから、手当や代休がほしい」「割増賃金を払ってほしい」と考えるのも心情的には理解できます。実務的には休日の移動日当を与えて、労働時間としない企業が多いように思います。
2.労働時間の定義と考え方
厚生労働省「労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日)」 では、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」となっています。
では、出張中の移動時間は労働時間になるのでしょうか?下線は小職記載です。
〇通達を見てみましょう。
「出張中の休日はその日に旅行する場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取り扱わなくても差し支えない。」
(昭23.3.17 基発第61号、昭33.2.13 基発第90号)
〇判例も見てみましょう。
「出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常の出勤に要す時間と同一性質であると考えられるから、右所与時間は労働時間に参入されず、したがってまた時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である」(日本工業検査事件・横浜地裁昭和49年1月26日)とされ、労働時間ではないとの判例があります。
以上のことから、出張のため休日に移動した時間については、労働時間として賃金の支払い、代休を与える義務はないことになります。ただし、出張中にパソコンでの業務やお客様への連絡などを命じている場合は、労働時間になる可能性があるので注意が必要です。
3.まとめ
無用なトラブルを避けるため、就業規則に休日の移動時間は労働時間にならないことを記載して、できるだけ休日移動のスケジュールを避けるような配慮が必要でしょう。また。移動中も拘束されている時間であること、精神的負荷の観点から、手当を支給したり、休暇とするなどの配慮をすることが望ましいでしょう。
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